会社の対応に不備や不満がある場合、クレームを言われるのは10%といわれています。
残りの90%は何も言わずにその会社から離れていきます。
クレームを言ったとしても親身に対応してくれるとは限りませんし、クレームを言うこと自体とてもエネルギーを必要としますからね。
もしかすると余計に不愉快な思いをする場合だってあります。
ですから多くの人はクレームを出さず二度とそのお店や会社に足を運ばないことを選ぶのです。
ではどのように対応をしたらよいのか見ていきましょう。
失敗しないクレーム対応
クレームはどのように生まれるのか?
一般的にクレームは商品やサービスに対するお客さまの「一定の期待水準」を大きく下回った時に発生します。
例えば、あるお客さまAさんが居酒屋に入ってビールを注文したと想定してみましょう。
ビールは調理する必要がなく、ただ、グラスに注いで持ってくればいいわけですからAさんは最低でも「5分以内には持ってくるはず」という「期待水準」を持っています。
しかし、「10分」が経ち、さらに「15分」待ってもビールを持ってこない場合「どうなっているのか!」ということでAさんは怒ってしまうでしょう。
つまり、「お客さま自身の期待水準」を「下回る」と「不満」が生まれ、その不満が積み重なりお客さまの「期待」が完全に裏切られ、我慢が限界に達したその瞬間「クレーム」が生まれるのです。
「クレームは必ず発生する」が前提の心構えを持つ
米国のある調査結果によると、どんな商品・サービスに対しても購入された直後に40%のお客さまが不満を抱き、そのうちの4%のお客さまがその不満をクレームとして表面化させると言われています。(全体の1.6%1万人から必ず160人分のクレームが出る計算)
自社の商品・サービスに自信を持って営業するのは当たり前のことですが、お客さまには様々な方がおり多種多様な「期待水準」や価値観を持っているのでそれらをすべて満足させることは不可能です。
また、サービスや商品にどれだけ注意していても「お門違いなクレーム」を言うモンスターが増えておりその発生を防ぐ事ができない状況です。
よって商品・サービスを充実させてクレームを完全に無くすという考えよりは「クレームは必ず発生する」という前提に立ち、起こったクレームをしっかり調査・記録して対応策を検討しその結果をマニュアル化してあらゆるタイプのクレームに対応できるよう備えるのが現実的です。
重要なのは「二度と同じクレームを起こさない」ことです。
クレームの対応方法
クレーム応対の基本は、まず「お客さまの気持ちを理解する」ことです。
クレームは、企業・組織にとって「嫌なもの」ですがお客さまの側も同じように商品やサービスで「嫌な思い」をしたからこそクレームを仰っていることを忘れてはいけません。
クレームを発するお客さまはそれぞれの「理由」を抱えています。
たとえ「特殊なクレーム」や「お門違いなクレーム」であっても、そのクレームを言わせる背景に経済的な事情であったり家庭・会社や身の回りの事情からの孤独感・ストレス・不安などがあるかもしれません。
クレームに応対する時にはそのようなお客さまの気持ちやクレームを言う背景などを推しはかりながら対応をすることができれば、お客さまの心情(クレームを発した理由)を汲みとることができ、自然と対応に「心がこもり」クレーム応対がスムーズに運ぶ可能性が高くなります。
また、クレームが発生した際は現場へ駆けつけることをお勧めします。
正確な情報を収集することが第一ですが、迅速にお客さまの元にかけつけるとこちら側の誠意を感じ取っていただけるからです。
クレームを起こさせる4つの心情パターン
お客さまがクレームを仰る時の気持ちは人それぞれですが「困っている」「損をしたくない」「イライラしている」「(商品・サービスを)良くしてあげたい」という4つの気持ちがクレームが発生する心情パターンの代表的なものです。
パターン1:「本当に困っている」
「クレーム」をつけるのは「時間」や「勇気」が必要な事です。
ですから、それでも敢えてお客さまがクレームを言うのは望んでいる通りにならず「困っている」からです。
例えば電化製品やパソコン、パソコンソフトを購入して説明書どおり操作したが動かないので、やむなくサポートセンターに電話したところなかなか電話がつながらなかった。
いろいろな電話番号を探したあげく20回目にやっと電話がつながったと思ったら、オペレータに開口一番「説明書に書いてあるとおり操作されましたか?」と冷たく言われ、「カチン」と来たという経験は皆さんも一度ならずあるのではないかと思います。
オペレータは電話を受けるのが「日常」ですから事務的な「冷たい」対応をしてしまいがちです、しかしお客さまにとってはその時緊急を要して本当に困っているのです。
このような両者の「気持ちの温度差」により新たなクレームが生まれることがあります。
お客さまが電話してきた不満が「一次クレーム」とするなら、このクレームは応対の最中に起こった「二次クレーム」です。
このクレームの連鎖を「二重クレーム」といいますが、これは避けられるものであり、絶対に起こしてはならないクレームです。
しかし、残念ながらこのような応対のまずさでクレームに発展するケースはめずらしくありません。
パターン2:「損をしたくない!」「不当な扱いを受けたくない」
当然ながらお客さまは「損をしたくない」のです。
「特別」とは言わないまでも「他の人と同じサービス」を受けたいと考えています。
例えば「先着順販売のお節料理を並んで買おうとしたところ、整理券が必要である事を知らなかったためさんざん並ばされたあげく購入できなかった」というようなクレームがあります。
店側にとってはそれほど重大なこととは感じないかもしれませんが、せっかくのお得意さまを連絡(告知)不足などの不注意で失うことにもなりかねませんので、公平なサービスを心掛けクレームを起こさないようにしましょう。
パターン3:「(この商品・サービスを)良くしてあげたい!」
実はクレームを言う人の大半がこの様な気持ちを抱いています。
クレームの現場では「元社員」「元職員」「元役員」「同業者」など自分たちの組織に近い人たちからのクレームが実に多いのはご存じの通りです。
これは母親が子供に「○○くんの将来を思って『勉強しなさい』と言っているのよ」と心情的には同じ「愛のムチ」です。
冷静に考えれば極めてありがたいことなのですが、企業・組織はお客さまを失ってからでないと「クレーム」のありがたみは分からないのかもしれません。
ただ、お客さまの怒った顔やクレームの背景などはなかなか分からないものです。
応対する側はお客さまが嫌がらせでクレームを言うのではなく、自分達のことを考えて言葉を言ってくれているという気持ちの余裕を持ちたいものです。
パターン4:「(時間がなさそうで)イライラしている」「機嫌が悪い」
これが一番やっかいなお客さまの心情です。
例えば、同じ「パソコンが故障した」というクレームでも平常心で事実を述べてくれる方もいれば、時間がなさそうでイライラしていたり機嫌が悪い状態で電話を掛けてくる方もいます。
つまり、電話をしてくるその日のお客さまの「時間環境」や「気分次第」でクレームになる場合とそうではない場合があるのです。
しかし、これは発生を防ぐことが可能な事柄です。
「機嫌の悪い」お客さまには無愛想な表情や言葉尻などを捉えられてより怒らせないよう、特に話し方や言葉に注意します。
「時間がなさそう」だと感じた場合は最初から「5分ほど大丈夫でしょうか?」と必要な時間を告げたり「お時間は大丈夫でしょうか?」と確認しておけば、それ以上お客さまを不機嫌にしたり怒らせることはないはずです。
二重クレームを起こすのは絶対に避けましょう。
クレーム対応4つの基本手順
- 相手の「心情を理解」し不快にさせたことを「お詫び」する
- 何が問題になっているか「原因・事実確認」を行なう
- 問題の「代替案・解決策」を冷静に提示する
- 再度「お詫び」をしご意見に対して「感謝」する
一番目の手順である「心情理解」とはクレームを言うお客さまには感情を傷つけた理由が必ずあるので、その「不快な思いをさせたこと」に対し相手の立場にたって共感することです。
なんとか早くクレームから逃れたいためにすぐに「解決策」を提示したくなる所ですが手順を間違えると二次クレームにつながります。
【基本手順1】
- 相手の「心情を理解」してクレームをよく聴く、迅速に行動する
- 「不快な思いをさせたこと」に対してまずお詫びをする
- 相手の「心情を理解」し話を「聴く」、そして「気持ちを静める」
- 迅速に対応することが基本
- 第一印象が重要、最初の3分が勝負
- 接遇など環境作りも不可欠
- あいづち、クッション言葉、間の取り方を的確に使いこなす
- 表情、視線、態度に加え服装、髪型などの身なりも大切
【基本手順2】
- 何が問題になっているか「事実を確認」する
- クレーム解決に必要な事実を集め、整理して、分かりやすく箇条書き、記録する
- 適切な質問で事実を固めていく(訊くスキルを磨く)
- 業務知識、常識も不可欠
【基本手順3】
- 問題の解決策や代替案などの「解決策を提示」する
- 組織の論理を持ち込むな
- 解決案は5W1Hの枠組みで考える
- なぜ? 何を?どうする? 誰が?いつまでに?どこで?
- 書面を出す際は、一般常識で考えて書き、職場内の確認を取ること
【基本手順4】
- クレームへの「お詫びと感謝」をし、フォローによって組織でクレームを共有する
- 相手に非がない場合は「お詫びと感謝」を
- クレームは組織で共有し、次の活動に活かす
- クレームを活かして、「最高のサービス」ないし「商品」の提供を追求
感情を逆なでしない
クレーム時のお客さまは、不快に対する意識が敏感になっています。
つまり対応者の言動に対してとても敏感になっているということです。
よって単なる「お詫び」ではなく、対応者が十分お客さまの感情の部分までしっかりと理解している旨を相手に伝える必要があります。
そのことが相手に「自分の言っていることが理解されている」という安心感を持たせ、信頼関係の構築に繋がります。
重要なのでもう一度言いますが、私たちは「相手が話す内容」と「相手の不快な感情」を理解していることを相手側に伝える必要があります。
これによりお客さまには冷静になっていただき、こちらは正確な状況を把握していきます。
お客さまになんらかの被害が出ていると思われる場合は健康状態等を心配する一言も大切です。
クレームの際のNG対応5選
- 話を途中で遮る
- 相手を否定する
- 憶測で話す
- 相手を待たせる
- 会社の常識は世間の非常識
1. 話を途中で遮る
クレームを入れるお客様は「自分の話を聞いてもらいたい」と思っています。
ですからお客様の話を遮ってしまうと「このお店は自分の話を聞くつもりがない」と判断され余計に不快な思いにさせてしまいます。
もし途中で解決策が思いついたとしてもお客様がクレームを言い終わるまで待ちましょう。
2. 相手を否定する
お客様の言い分を真っ向から否定してしまうとストレスを与えてしまいます。
感情が高ぶると冷静に話し合うことができなくなる可能性もあるので注意が必要です。
お客様の話は最後まで聞き解決法を提案するなどをして対応します。
その際は肯定的な言葉を使い否定的な印象が薄くなるように話しましょう。
3. 憶測で話す
クレーム対応時に無責任に憶測で話すことは危険です。
お客様の要望と見当違いのことをしたり対処できると言ったことが対処できなかったりするとまた別の大きなクレームにつながってしまうことがあります。
お客さまの要望はしっかり確認を取り会社で対処できるかわからない場合は上司に相談しましょう。
4. 相手を待たせる
クレーム対応は迅速に動く必要があります。
不満を持たせたままお客様を待たせてしまうとさらに憤慨させてしまうからです。
すぐに対処できない場合はいつ対応できるかを明確に伝えて「この時間には対応してくれる」と安心させてあげましょう。
5. 会社の常識は世間の非常識
会社内で行われていることは会社内でしか通じないことが多いです。
また会社は専門的集団の集まりです。
世間は専門家ではありません。
相手にわかっているでしょうという話し方ではなく世間の人たちに分かるような易しい表現をすることが大事です。
相手が喜ぶ対応を心掛ける
クレームを受けたらまずは仕事の手を止めて不快な思いをさせてしまったことに対してのみ謝ります。
そしてお客さまが言うことを反復しながら話を聞いていきましょう。いわゆる「オウム返し」です。
相手にとっては「きちんと話を聞いてくれている」というプラスの印象につながりますし自分にとってもクレームの内容が把握しやすくなるというメリットがあります。
クレームを受けているときは途中で言葉を挟まず相槌や間をとりながら丁寧に話を聞きます。
相手は何かに怒っているので表情や姿勢にも気をつけ必要であればメモを取りながら聞くようにしましょう。
あいづちの例
- ─「はい」
- ─「ええ」
- ─「なるほど」
- ─「よくわかります」
- ─「そうなのですね」
- ─「ごもっともです」など。
表情
- ─神妙な表情で
- ─眉間にシワを寄せない
- ─キョロキョロ目を泳がせない
- ─相手の目を見すぎない
姿勢
- ─背筋を伸ばして猫背にならないように
- ─うつむかない
- ─きちんと両足に重心を乗せて立つ
- ─後ろ手を組まない
メモを取る(事実の部分)
- ─食べものに異物が入っていた
- ─提供した料理が注文と違っていた
- ─商品が壊れていた など
メモを取る(お客様の心情の部分)
- ─気分が悪かった
- ─腹が立った
- ─イライラした
- ─使えなくて困った など
以上のような例は、相手に対する誠実さを表現できるでしょう。
クッション言葉を使いこなす
クッション言葉はこちらからの言葉を相手にとって受け止めやすくする効果があり、その名のとおり”クッション”の役目を果たすことばです。
クレーム対応の際にはこちらがお客さまに失礼なことをいったつもりがなくても、お客さまが不快になることがあります。
そうした場合、お客さまの心情や理解を無視して、こちらが一方的な説明を行ったためお客さまが気分を害されたということが少なくありません。
こうした事態を防ぐためにはお客さまに「共感」しながらそのペースや理解に合わせて対応を進めることが必要です。
その意味でクッション言葉はお客さまに対する一言の「共感メッセージ」ともいえます。
テーマ別クッション言葉の例
依頼
- 「恐れ入りますが」
- 「恐縮ですが」
- 「ご多用中、誠に恐縮ですが」
- 「ご迷惑とは存じますが」
拒絶
- 「申し上げにくいことではございますが」
- 「誠に申し訳ありませんが」
- 「お役に立てず心苦しいのですが」
- 「やむを得ずお断りせざるを得ません」
抗議
- 「誠に遺憾に存じております」
- 「ご再考のほど、お願い申し上げます」
そのほかのよく使う「クッション言葉」
- 「かしこまりました」
- 「ご多用中とは存じますが」
- 「突然失礼とは存じますが」
- 「なにとぞよろしくお願い申し上げます」
相手の言葉をくりかえす(復唱)
「○○が×個届いてないんだけど」→「ご迷惑をおかけいたしております。○○が×個お届けされていないということでございますね。」
感情的になっている時、脳は情報の整理ができていない
怒っている人がクレームを言うとき、事実確認をすることは難しいです。
頭が整理できておらず話にまとまりがなく内容を把握できていないからです。
相手に合わせて興奮しても何の解決にもなりません。冷静に事実関係や状況を把握しましょう。
例えば、以下のような内容を正確に把握することが重要です。
- いつ、どこでトラブルが発生したか?
- どんな事が起こって、何に対して不満を感じていらっしゃるのか?
- 誰が不満を持っているのか?
- 問題点は何なのか?
- 当方に対して、どうしてほしいと思っているのか? など
適切な質問で事実を固めていく(訊くスキルを磨く)と良いでしょう。
質問は短く簡潔にそして趣旨を明確に行う必要があります。
その上で期待する回答を引き出せるように訊くスキルを磨きましょう。
ただし、質問をするその前に必ずお客さまに確認をとりましょう。
「質問よろしいでしょうか?」
「お聞きしたいのですが?」など
※要点を絞った質問の仕方
・当事者意識を高めるために「訊く」
⇒「○○についてはどうお考えですか?」
・重要なことの念押しのために「訊く」
⇒「○○については理解いただけたでしょうか?」
・確認したいことを直接「訊く」
⇒「どんなご不便をおかけいたしましたか?」
また、クレームの際にはお互いの「常識」が異なっている場合もあり、その部分を折り合わせるためにも注意深く相手のお話を聞くことが重要です。
最後に
クレームは情報として蓄積することによりリスク管理、業務改善、マーケティング情報として活用できる「共有財産」となります。
「解決したら終わり」ではなくしっかりと記録をして今後に活かせるようにしましょう。
クレームをチャンスと捉えて対応すれば、おのずと心のこもった対応ができるのではないでしょうか。
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